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病院から施設に移った父

昨日、電話をかけてきて第一声

「わしゃあ、ここじゃあどういう立場になるんかいのぅ?」


私「は?」


父、再び

「わしゃあ、ここじゃあどういう立場になるんかいのぅ?」


私「“ここ”いうのはそこの施設のこと?」


「ほうよ、ここじゃあわしはどういう立場なんや?」


私「お父ちゃんが今おるとこじゃ“利用者”じゃけどなぁ…」


「それはどういうことなら。」


私「ん~ そこの施設に泊まっとるいうことよ。」


「わからんのぅ…。

  わしは、はぁ、人間でのぅなった。」



私「人間じゃのぅなった?」


「ほうよ。よいよわからん。

  人間でのぅなったで。」



私「人間じゃないんなら仙人になったん?」


「ほうよ、それよぅ。」


私「霞を食べようるん?ご飯は食べんのん?」


「わからんのよぅ。」


私「ご飯を食べることがわからんのん?」


「ほうよ、よいよわからんので。」


私「ご飯は食べて薬は飲まにゃあいけんで。

  そこの施設の人も心配して私に電話してきちゃったよ。」


「ここのもんはようにいけん。

  あれをせぇこれをせぇ言うてやれん。」



私「しんどいらしいけぇ

  食事以外のときは寝させといてくれ言うといたけ

  『ご飯ですよー』言うて部屋に来ちゃったら

  ちゃんと食べてぇや。」


「わからんのぅ。」


私「ように仙人になったんじゃな。」


「ほうよ。」


私「病院行く?」


「それよぅ。そうしてくれぇや。」


私「でも今日施設の人が連れてってくれる言うちゃったのに

  父ちゃん断ったんじゃろ。」


「あそこじゃあつまりゃあせん。

  わしは人間でのぅなったんじゃけぇ。

  あののぅ…

  どがぁいうたかのぅ…

  せいしん…

  どういうんじゃったかいのぅ。」



私「あ、精神病院へ行きたいん?」


「ほうよ。それじゃ。そこへ入れてくれぇ。」


私「今なぁ、そうよなとこ申し込んどるけぇな

  来週入れるかどうかわかるけぇ

  もうちょっと今おるとこでガマンしといてぇや。」



今朝も電話をしてきた。

失禁してしまったという報告で。


もちろん、そういうときは

施設の職員さんがちゃんと対応してくれる。


でも、父は

自分が排泄の失敗をしたことが気になるらしく

私に報告してきたのだ。


病院から施設に移って調子が悪い。


急遽空いているところへ入れたので

デイサービスを兼ねた

比較的元気な高齢者が通ってくるような場所。


なので、父の病気には対応が難しく

近々老人保健施設に移ることになっている。


去年、約半年間わが家で一緒に暮らし

生まれて初めて

父と長く濃い時間を過ごした中で

いろんな話を聞いた。


「言葉がのぅ、うまいこと出んのんよ。

 ボケたいうが、あれもわからんで。」



一口に「認知症」という言葉を使うけどその症状は様々。


父が言いたいのは


表面は完全にボケたように見える人でも

頭の中ではしっかりとした考えがあって

それが表現できなくなってしまっただけの人も

かなりの割合でいるのではないか?



ということ。


父は以前から自分がそういう状態になった場合

山奥の洞窟にこもって

髪と髭を伸ばして

仙人になると言っていた。


そして時が訪れたら

自然に土に還り

大地の肥料になりたいって…


それができない場合

今の日本では

精神疾患扱いをされるだろうから

精神病院へ入れてくれと…


子や孫の手を煩わせたくないからと…


昨日の電話では

そのことを言いたかったらしい。



お母ちゃん

お父ちゃん迎えに来るの

もうちょっと待ってぇや。


うちの末っ子長男の受験や卒業式があるけぇ

今バタバタしとうないんよ。


で、それが終わって落ち着いたら…

あ、4月には

NYの孫が産まれるで。


インターネットのテレビ電話みたいなヤツで

お父ちゃんに孫の顔見せてやらにゃあいけんけぇな。


それから…

次の理由は何にしよう…




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